戸田蕨地区会 2009年度 活動報告

3月の例会報告  

日産 電気自動車「リーフ」の挑戦!

講師:平木 郁夫氏&牛尾明日香氏(株)日産自動車

3月18日(木)午後6:30〜9:00 会場:戸田市商工会館

 今月は若月さんが購入して乗る前にどうしても尋ねておきたいと以前から言っていたこともあり、年度末の超多忙な中を日産自動車開発チームを講師にお願いして企画となった。趣旨説明をその若月氏が行い。エリアマネージャーの平木氏の一般論に続き、日産の電気自動車の挑戦をメーカーの商品企画部の美人EV担当牛尾明日香さんの報告となった。ちょうどルノー・日産がベンツのダイムラー社との提携がマスコミを賑わせているところだが、さすがゴーン社長はグローバルなだけあって「ゼロミッションでリーダーになる」というニッサン・グリーン・プログラムは、「自動車」からトランスポート(Transport=移動手段)へというパラダイム転換を意図している。後発だから苦しんでいるのだろうと予想していたが、むしろハイブリッドなどで味噌をつけたトヨタや軽自動車で満足している他社メーカーを尻目に着々と進歩している状況を知って、意外とCO2・0%の電気自動車の時代が予想以上に早く来ることを実感する内容だった。考えれば小さなバックぐらいの携帯電話が、バッテリーの開発で今のように小さく、薄く軽くなるのにわずかな年数だった。遊園地の自動車かと言われたオートマッチック車は今や主流にもなっている。時代のスピードは私たちの想像以上なのかもしれない。人間の理解力の方が追い付かない可能性もある。技術革新は、それに追いつく人間の意識改革とセットでなければならないだろう。今や昔の国産車の代表であった「日産」はカタカナの「ニッサン」に変身していた。
ニッサンはNECとのコラボレーションでのバッテリービジネスの展開で、スマート・グリッド構築のシナリオを出すが、それは自動車と社会の共棲であり、スマートハウス(家)からスマートコミュニティ、まちづくりまでを射程に入れたライフスタイルの変革を構想している。電気自動車が家での蓄電池としてインタラクティブな利活用や再生エネルギーの推進に貢献できる可能性や、移動距離に合わせた移動手段の多様化の提言は今後の技術革新を待って私たちの生活が自動車中心に展開してきたように、自動車を超えた新たなライフスタイル革命を実現するだろう。自動車は自らトランスポーテーションするのだ。それは都市の姿を変えるだろう。だからインフラ整備を含めて行政との連携から進めている経営戦略にもパワーを与えている。パーク&ライド方式は中心市街地や観光地をEV化することで、行政との連携強化は街を変える。こうした戦略が第二の展開だ。CO2削減25%が国是になる以上、この方法はまちづくりに大きなインパクトを与えることになるだろう。

会はいつの間にか遅れてきた仲間で満員になり、久々の質問の嵐で大いに盛り上がった。こんなに社長連中が自動車好きだったとは驚きでもあり、自動車 社会のライフスタイルの影響を受けているとは面白かった。同時に近未来のライフスタイルの革命の話は面白く、想像力を刺激するのだろう。一方で、環境問題が全人類の緊急課題になっている状況で、相変わらず市民活動と民間企業に差別や区別をつけようと考える市民団体の古さと、最先端で諸外国や異分野との競争にさらされている大企業の人間とのレベルの違いも痛感する。ようやく行政との協働が語られるようになったばかりで、企業との連携や協働にはまだまだ不慣れなのだろうが、どういうスタンスで、何を目標とするのか、目的は何か、コンセプトをしっかり持たなければ革命は時代に逆行することもある。 政権交代で「変化」の流れは加速するだろう。私たちも時代に合わせて変化に追いつけるか。
同じような流れは旧社会党系なのか、時代錯誤の民主党の一部にも感じるところだ。労働組合の独善的な思い上がりは、ある種の市民団体とも同質なのかもしれないが、時代の方が早く進んでいる気がする。どの革命もそこが課題なのだろう。自己変革できる組織か、古いものを切り捨てるイノベーションができなければ、それに引きずられるものが不幸だろう。敵は内部にあるのかも知れない。 同友会の組織はどうなっているのか。脚下照顧。(Y)

2月の 三地区会合同例会報告  

川口・浦和地区会との合同例会

「中小企業の救世主」カリスマ事業支援家に聞く

自社の強みを生かしたビジネスマッチングとは?

講師:小出 宗昭(株)イドム社長/富士市産業支援センター長 

 小出先生とは10年前に「SOHOしずおか」以来今までも数回お会いしているのだが、さすが産業大臣賞や新連携の評価委員などを歴任しているだけあってキャリアアップは迫力が増している。具体的にスポーツ弁当や起業支援での数々の実績は、ちゃちなコンサルタントは歯が立たない。面白いアイデアやヒントがすぐ出てくるだけの場数をこなしているから、ビジネスモデルの参考になるだけでなく、現場にどっぷりつかっているから見えなくなっている自分の姿や知恵を出す仕組みに気づかされる。支援者に求められるのは、ビジネスセンスとコミュニケーション能力(問題発見力)、そして情熱の3要素だという。
  売れないお茶を、音楽イベント会場での「コンセプト茶」開発でバカ売りできるなど常識を破る、お金をかけずに消費者のニーズを開拓できれば新規の市場となり、絶対売れるという話は元気が出る。まだまだ世の中には売れるやり方があるのだと感心した。コンセプト茶とは、音楽ファンに「ヘビメタ茶」とか「ロック茶」「カントリー&ウェスタン茶」といった自分の音楽センスで飲むお茶を提供するという手法だ。部品加工や巧みの技術の自分たちのレベルに気づかない経営者に、すぐに試作品を提供できる会社だとか、クラシックカーの手に入らない部品提供だの、あるいはJALの機内冊子に高級品でブランド化するなど、売り方のアイデアで確実に実績を上げられるコンサルティング力はさすがだと感心する。
   ともかく自分たちの強みを発見して、その違いを探し磨くことでオンリーワンに導く、それを経営者が継続する「情熱と行動力」があれば成功は必ずできるという信念がある。「やってみなければわからない、行動しなければ結果は出ない」という指摘は、チャレンジ精神を刺激する。今のバーチャルやシュミレーションで生きる時代には少なくなった現場主義だろう。FCのように差がないような店舗や企業でも、それに至る社長の人生ドラマや人間性でもいいからストーリーを作れば、新規性や社会的な意味があるかも知れないし、人々が共感してくれるかも知れないという。まさに、このニュース(新規)性、社会性、共感性はパブリッシングの3要素で、マスコミが採り上げる要因だ。話題性はお金をかけない広告であり、ネットでの広がりを含めての販売法なのだろう。この視点だけでもいい勉強になった。
それは自律型の気づき、修得というプロセスを含めて、現場でやってきた人間の言葉の強さだろう。これが出来るかどうかだ。今回民主党政権では「コンクリートから人へ」というスローガンで、例えば「子供は地域社会で育てよう」と子供手当を創設したり、地域に雇用を生む施策、例えば介護や地元商店などやコミュニティを支える起業、社会的企業が中小企業の存在意義でありミッションとする。だから中同協との連携で来年度内には私たちの念願でもある「中小企業憲章」が実現するかも知れない。いまや一企業の雇用でなく、「地域で子供を育てよう」「地域で介護しよう」という民主党の政策の流れでもある、「地域で雇用」するという視点での「社会雇用」は、地域を捨てない教育からスタートして、海外に逃げない中小企業をどう育てるかでもある。社会雇用を創る社会的企業を、もちろん企業の努力も大きいが、それを支える地域力も大きい。行政や市民がその力なのだ。

  企業家が自己努力で小出さんのいうベンチャースピリット、チャレンジャー精神でビジネス展開を続けることが大事だろう。企業家同士がネットワークを強化することで、地域経済を活性化し「地域雇用」を促進できれば、まさにみんなが元気になるまち作りが実現することになる。大いに元気が出るセミナーだったのではないだろうか。まずは実行力が求められる。(Y)

新年1月の例会報告  

社長の視点で変わる!売り上げ倍増!

〜3ヶ月で確実に顧客が増える方法を教えます〜

講師:広幡 勝典氏(株)フォーバル チーフコンサルタント

 2010年最初の例会は、昨年の目からうろこの刺激に満ちたスタートの例会同様、新年にふさわしいセミナーとなりました。まず、戸部会長の新年の挨拶に続き、戸田蕨地区会には珍しい女性が2名、女性部会と浦和地区会の訪問と告知があり、我が地区会の最大の弱点でもある女性に弱く、また女性会員の不在というところを露呈してしまったところでした。

セミナーは、先立って趣旨説明で佐藤さんが、自分の保険会社としての経験から今伸びている会社は、社長だけでなくその分野ごとの社員が優秀なことを挙げ、社長とともにこうした例会に参加させるべきだと話しました。それは同時に会の活性化と自社の活性化という一石二鳥の効果があると説明。会員数が100名いても20人の参加しかない地区会より、例え50社の我が地区会であっても、今日出席の25名が1名ずつ社員を連れてくれば50人の参加の例会が催され、どちらが活力があるかという提案をしました。確かに今回のような社員にも聞かせたい売り上げ倍増計画などは検討の余地があり、また、従業員用のセミナーを例会として活用することなど別の発想もあるかと考えます。大いに検討しましょう。

さて、セミナーは、この30年で社員8名から創業、いまや250名規模のジャスダック上場企業にまでなったコンサルタント会社のチーフでもある広幡氏の、内容もさることながらその形式も、普通の講義形式だけでなく、質問に考え、グループで討議、リーダーが発表という飽きさせない双方向スタイルというユニークなものでした。このセミナー自体がトレーニングとなり、きちんとプログラム化されており、恐らく会社独自のノウハウの賜物で、謝礼もなくこうしたプロのセミナーを受講できる例会を企画した佐藤さんに感謝です。

セミナーでの自社でも使えるいくつもの手法は、それだけでも効果的で役立つところですが、まず相手にインパクトを与える時間は1分30秒というところから、「1分間自己紹介」は明日からでも実行したいと思いました。テレビのアナウンサーは1分で400字の原稿を読むそうですから、400字詰めの原稿用紙に自分や自社の紹介を書かせてみるのも下手な朝礼やレポートよりいいかもしれません。そして、続く第1の質問は、単純に「売り上げをアップさせる3つのポイントは?」です。セミナーに参加しなかった皆さんは考えてみてください。答えが知りたい方はメーリングリストで質問いただければ回答を出します。ともかく分かっているつもりだけれど、いざ口に出そうとすると言えないことは多いのですが、システム開発でも「要求定義」や「要求仕様」をまとめられるSEは上級といわれるように、自社の要求自体や業種・業態をうまく説明するのは意外と難しいものです。また、一般論では分かっていながらそこからの対応や具体策が出せないトップも多いでしょう。行動できなければ知っていても意味がないのかも知れません。少子高齢化で人口が減少し、マーケットそのものが縮小しているのは実感していながら、その属性の変化や人口の移行に対応して自己革新できていない会社こそ中小企業の弱点かも知れませんね。トフラーやドラッガーを引用するまでもなく、農耕社会、工業社会から情報社会に現代が来ていることは常識でしょう。しかし、講師はIT社会での「情報」が単なるインフォーメーションではなく、インテリジェンス、つまり、知識や知恵の時代に進化していると指摘します。いまや情報過多でこの10年前の450倍の情報量がある現代、その情報から必要な知識を選択し分析することができるか。そして活用できる実行力を伴う「知恵の時代」だというのです。

そのために一番肝心なのは社長の視点が「顧客の視点」に変えることです。国鉄、電電公社、郵便局、日本航空とメガ大企業が、言い換えれば「国」そのものの公共サービスが転換を迫られる時代背景で、例えば新聞やテレビといったマスコミ、広告業界といったメガ媒体も前年比マイナスの右肩下がりで、年率116%右肩上がりのネット媒体に押されています。このままでは紙媒体の減少といっただけでなく、報道、電気、水道、ガスといったインフラ系の産業構造も変化を迫られるでしょう。いまや新聞社はNPO法人になるしかないという評論家もいます。広幡氏は人口減少と時代の変化の中で、いまや消費者が知識化し、情報で武装した行動に変化している。そのお客の視点に立って「捨てる勇気」も必要だと言います。過去の栄光や古い体質に決別し、何のために、誰のために存在する企業かの原点を問うのでしょう。お客の視点とは、いまや経済だけでなく政治にも言えるのかも知れませんが、ひとまずわれら中小企業家に置き換えれば、社長の視点を変えるだけで明日から自己改革は可能なのです。

消費者心理のStep7も一般論でのAIDMとかは耳にしますが、消費者側と企業側を並べて考えてみること。「捨てる勇気」や「自社をとがらせる」など、斬新なコンセプトで「5×3×2戦略マップ」での設計などの具体的な視点の換え方は大いに参考になります。それぞれの分析や設計の考え方を変えることで、例えばライバルをどこに置くかでマーケットが広がることにも驚きでした。オズボーン博士の9つのアイデアの出し方やら豊富な実例やケーススタディなども面白く、例えば、リフォーム会社の見積もりに作業帰りの汚い作業着で行かせていた会社で、お客である主婦の視点から、自分の家にそんな男を招く女性はいないこと、少なくとも汗臭い靴下だけでも嫌われることから、きちんとスーツに着替えさせ、自前のスリッパを持たせただけで、富裕層にどんどんマーケットを広げることができた例など、その後のイメージ戦略、口コミ作戦などの細かな戦術も含めて感心させられました。当たり前で、頭では分かったつもりでもそれを社員にまで徹底できるかなど、具体的な行動にどう落とし込めるかといったことまで、社長が変われば会社が変わるやりかたなど大いに勉強になったセミナーでした。

セミナーの細かいことは、この報告では枚数が足りず間に合いませんので、ほとんどは述べられませんでしたが、一部個人のブログでも読んで我慢してください。このセミナーに参加できなかった会員の皆様は、サンライトの松田さんの干支の金杯をもらえなかった忘年会参加同様、惜しいことをしましたとしか言えません。いいお年玉をもらったような貴重なセミナーでした。感謝。 次回は3地区会合同例会です。もったいないと後悔しないよう皆様必ず予定にお加えください。

2次会ではセミナーの成功で盛り上がりつつ、今回結婚することになった森オームの森田さんに花束が贈呈され、若手を象徴するおめでたでしたが、翌日のしごともあるので新婚前に酔いつぶすといった欧米のようにはいきませんでしたが、3月の市長選のうわさ話なども交えて3次会までの深酒となった会員も多かったようです。

なお、11月の市長参加の例会は写真が手に入らず、そのうち時間切れで、また12月の忘年会は飲み過ぎて(?)報告が出せず失礼しました。そのうち暇があればと思うのですが、最近は年のせいか覚えていないところもあり、このままの場合はご容赦ください。(Y)

 

10月  全県研究集会と県議会訪問報告

「新たな連携、仕事・地域づくりで不況打破!!」

〜今こそ実践 今だからこそ同友会〜

2009全県経営研究集会

日時10月3日(土) 午後1:00〜9:00

 会場 :埼玉県民健康センター(浦和)

  立教大学経済学部教授の山口 義行先生の「100年に一度」の不況にどう向き合うかをテーマに、今、中小企業経営者がなすべきことを基調講演として、6つの分科会が共済会館などを会場に、年に一度の埼玉県全県の経営研究集会が開かれました。総勢400名近い中小企業家が結集、戸田蕨地区会としても20名弱のノルマを達成しての参加。この勉強の機会に 熱心な若手中心に参加してきました。

第三部の懇親会では例年通り上田清司県知事も参加しての和やかな酒宴となり、地区会としての結束も確認されました。(写真右、知事を囲んでの面々)

 川口では知事の肝煎りもあってか、NPOなど市民活動と行政のコラボレーションに早稲田大学と同友会を中心とした中小企業経営者を加えた産官学民の地域振興協議会といった機構が、総務省の地域活性化の助成金を得て新たに活動をスタートさせるそうです。B級グルメ選手権や空き店舗対策でもがんばっている地域ですが、戸田蕨でも大いに参考になるのではないでしょうか。

 10月8日には同友でもある中島浩一県会議員の尽力で、同友会政策委員会と県議会の産業労働委員会委員長と懇談。また、県議会議長を表敬訪問しました。その中でも出ましたが、例えば住民組織では町会などに寄せられない新住民やマンション族の声を、また、 地域経済では、商工会など既成組織に上がらない、同友会会員などのやる気のある勉強熱心な経営者の声をどう集められるか、という新しい枠組みが求められています。せっかく埼玉県 、特に戸田市には多くの社会的資源、有利性があるにも拘らずそれらを生かしていないという事実を、地域の再発見や声なき声の中から埋もれているアイデアを発掘する必要があるでしょう。それが今度の「マラソンとボートの街」づくりなどにも発展するのではないでしょうか。来月は戸田市長との懇談会も企画されています。今こそ、全県の成果を実践させる時代のスタートです。まずは地域活性化会議の創設。そして、戸田市のまちづくり中小企業振興条例の制定。同時に、会員増強にも地区会を上げて取り組みましょう。(写真左は奥ノ木県議会議長と懇談する政策委員会メンバー)

9月例会報告

「戸田の観光ビジネスで地元企業を活性化させる」

〜新しい観光振興に何が求められるか!〜

報告者:岩岸 悟氏(はこだてフロンティア 代表)

日時9月17日(木)18:30〜21:00 会場は戸田市商工会館

 政権交代が実現した民主党内閣の顔ぶれも揃った日に、戸田市起業支援センター「オレンジキューブ」入居者でもある岩岸さんを講師に、花火大会を切り口に戸田市の社会的リソースとしての観光資源を考える例会となりました。岩岸さんは、函館のご出身、旅行会社からの転出、シニアベンチャーとしてイベントなどの開発に取り組み、この度、初めてといってもいい、戸田SOHOクラブのメンバーとしてもようやく地元行政とのコラボレーションを実現、戸田橋花火大会の企画運営を受注したことから、板橋などの比較や運営上の課題などと共に、観光資源としての戸田の見直し、函館なども含めた新しい観光振興の問題を報告いただきました。
従来の地元市民のためのいわゆる住民サービスの発想ではなく、観光資源としての花火大会の意味や位置づけの必要性、45万人も参加するのに現状での無策ではもったいないという指摘には、常々、23の大学のサテライトキャンパスでもあるボート合宿所や水上F1スズカにも変身できるボートコース、プロ野球のヤクルト2軍などの社会的リソースの有効活用をといってきた身としてはまさに同志を得たという気持ちです。単なる予算の消化やこれ以上見物人を増やさないぞといった消極的な行政、道満の釣堀管理程度の観光協会の現状を打破して、通年で「戸田市をプロディース」するという積極的な方向転換が、これからの地元を活性化する大きなチャンスでもあると考えます。

  グループ討論では紅一点で参加していただいた美人市議でも有名なS女史も報告。各テーブルからは様々なアイデアも飛び出しました。旅行客はほぼ同額のお小遣いを用意し、デズニーランドやくだもの刈りでもわかるようにお土産ビジネスが成り立ちます。花火大会の前後に街を歩かせる企画や写真コンテストなど、あるいは、地域通貨を活用した飲食店めぐりや外部企業のスポンサー募集、会場内でのフリーマーケット、ブースやイベント会場の設営など、街の価値を高める地域ブランド作りにも有効なのではないかという、活性化戦略会議の提案をしてきた私たちとしても我が意を得たりと言うところでしょうか。大手企業の戸田からの転出でも「経済効果」を測定できない役所では、これらの意見が理解できるかどうかは分かりませんが、「観光需要は経済的消費効果は3倍」だそうです。それは地域の特色を見直し、生産誘導効果で地域雇用を創出し、しかも対費用効果も比較的単純なサービスで可能という指摘は、手付かずの戸田市だからこそ、アフリカの原住民を見た靴のセールスマンの「だめだ全員裸足だ。売れないぞ」と思うか「すごいぞ、全員裸足だ。売れるぞ」の意識改革を迫ります。もう時代は朝からの場所採りで住民が楽しむ花火大会ではなく、その苦労よりは有料でも付加価値の高いイベント席に需要はあるのでしょう。そのためには常設の実行委員会や観光協会、経済振興課などの改革、行政主導の戦略にポイントがあるのかも知れません。
終わりに「ランニングとボートの街」をテーマにという新しい提案のプレゼンを、同じオレンジキューブ入居のマジックエッグ佐藤さんが行い、同じように埼玉で第一の彩湖マラソンと市民レガッタを結び付けてのイベント化、その地域ブランド戦略で、マラソン人口増加を背景に「ほんとだ!」をプロディース、健康で元気な街へと呼びかけ、皆様の協力をアピールしました。こうした若い人たちの発想の転換やパワーをどう実現できるかも、硬直した様々な組織改革を射程に入れて取り組まなければならないのでしょう。

 10月3日(土)には、全県研究集会が浦和地区会設営で行なわれます。 開会前には浦和地区のキャラバンも登場し、「来たれ!浦和へ」をアピール。全県へのまとまった参加は、やはり戸田のパワーです。皆様のご協力をお願い申し上げます。 恒例の2次会も18名ほどの参加で夜遅くまで大いに盛り上がりました。(Y)

8月例会「暑気払い」 報告

 

「暑気払い!」日時:8月20日(木)午後6:30〜9:00  会場: 彩香の湯

 8月は恒例の暑気払いということで堅苦しい勉強でなく、今年は若手中心の企画で「戸田で温泉気分」ということで天然温泉・彩香の湯」の宴会場で開かれました。例年の清次郎節が聞けず、小山さん、都丸さんと前会長が欠席と参加者も20名弱と少し寂しい宴会でしたが、若手に負けじとダイコウの高橋さん、サンライトの松田さんと私が団塊の世代を代表してがんばりました。メンバーの多くが40代、30代と世代交代を思わせる暑気払いでしたが、ロートルの皆さんもまだまだとの思いで残暑を乗り切りましょう。

 会場では中同協総会で好評だった東京同友会制作の「中小企業立国〜その鐘を鳴らすのはあなた〜」のDVDを放映したのですが、あいにくスピーカーがなくノートパソコンからのか細い音量で無声映画状態でした。選挙戦で超多忙な中島さんも顔を出したので、遊び心で流した県政報告会用のプロモーションビデオを肴に、どうせ酔っ払ってはまともに鑑賞しないだろうと、次回の機会に再放映したいということで落ち着きました。

 10月には、全県研究集会が浦和地区会設営で行なわれます。皆様のご協力をお願い申し上げます。

7月例会 報告

「イノベーションで変える! 中小企業のための3つの経営視点」
〜だれも教えてくれなかったシンプル方程式〜

日時:7月16日(木)午後6:30〜9:00  会場:戸田市商工会館

報告者:松延健児氏 (オフィスエクサネット 代表) 

 戸田市起業支援センター出身で今回合同企画という戸田SOHO倶楽部のメンバーでもある松延氏を講師に、刺激的なマクロ的な中小企業のあり方を学ぶ機会を得た。個人的には以前ベンチャー論を聞いたことがあり、どの程度地元の会員に通じるかと多少危惧していたのだが、話を分かりやすくしてくれたのと、どうしてどうして会員のレベルの高さで杞憂であったと反省させられた。昔、小泉内閣のタウンミーティングのような場で集まった500人以上の埼玉の企業家に向けて、当時NTTを退職してイーアクセスを立ち上げたばかりの千本倖夫さんが、「この中で渋谷ビットバレーを知っている人、メールアドレスを持っている人」と質問して手を揚げさせたことを思い出した。パラパラとしか手が挙がらない埼玉のレベルが今は懐かしい。戸田市の企業支援センター懇話会で討議して今の施設ができる際にも「SOHO」という言葉が条例から削除された経緯もある。そんなこの10年の歴史が走馬灯のように流れた。ドッグイヤーと考えると、この10年は6〜70年のスピードなのだ。

 こんな思い出話をしているのは、実は面白く拝聴し、熱心にメモを取ったのだが、二次会で酔っ払ったせいかそのメモもレジメもなくしてしまったので何も書けないのだ。申し訳ないが、以下の事務局と今回初デビューで燃えていた川島異業種交流部会長の作った案内、狙いを掲載することでお許し願おう。

≪ねらい≫
何故今、イノベーションなのかについて、マクロ経済環境と時代背景を把握し、自社の置かれている状況把握を正確に認識します。また、経営判断の最適化のためには正しい情報収集が必須であり、自社は「生きている会社なのか?」「生かされているのか?」を経営者自身が自覚し、「経営とは何かを真剣に考え」激変している市場環境に対応する手法を考えます。


 恒例の二次会は、今回、3年半に及ぶ事務局員の仕事から新座・朝霞地区会の会員企業に転職することになって退職する伊藤さんの送別会を兼ねて20名以上が参加する酒宴となった。(写真は急遽用意した花束贈呈を行なう戸部会長)

 それぞれ企業家としての目で事務局のあり方を見ると様々な意見が出たが、やはり中小企業の中の鑑のような「企業」としての完成度を望む声が多い。事務局員を一人前の社員や企業家に育てるという役目を持つ事務局ならば、それはそれでそうした人材育成の場としても有用だが、同友会の理念や助成金ももらわずボス支配をしないなど稀な団体が、世の中で目立ち始めると同時に、中身が問われる時代でもある。経営指針や労使見解など、日々の学びが絵に描いた餅にならぬよう、自社にとどまらずにいい会になるよう、みんなで力を合わせて行きたいものだ。それが同時にいい地域社会を作ることになるのだろう。(Y)

6月例会 報告

2009年度第1回定例会

経営の赤信号を見抜く!
〜経営の危機感をお持ちですか?〜

日時:6月18日(木)午後6:30〜9:00  会場:戸田市商工会館

報告者:中小企業診断士 坂上 成人 氏

 戸田市起業支援センター出身で元警察官、中小企業経営者という異色の経歴を持つ 中小企業診断士の坂上さんをお迎えし、実践的な企業倒産を未然に防ぐ手法を学び、その予兆・前兆(赤信号)から自社のあり方を考えるというテーマでの報告でした。今月は商工会との共催でもあり、実例から学ぶということもあって、実に刺激的で示唆に富んだ報告。そして、会員以外の参加もあり、会場は50人以上の満員御礼の盛会となりました。

 当然のことながら倒産にならないためには無借金経営、自己資本比率を高めればいいかというと、実はそれだけでは危険で、予測不可能な事故が起こるだけでもあり得る訳で、事故に至らない組織問題、リスク分散なども重要なのだという話は、最近の儲けに走り過ぎての「偽装倒産」や経営者、従業員のクオリティの低さ、劣化などに要因がある場合や下請けからの脱却、異業種連携や環境経営の視点など経営指針そのものの学びの必要性まで多岐に渡りました。倒産というとすぐに財務の視点に囚われがちですが、実は顧客の視点や業務プロセス、ひいては必要な人材の配置という人事や組織に前兆があるはずで、それらの細かな気づきや発見にポイントがあるという内容でした。

 そのためにはアンテナを高くし、学び続ける姿勢と冷静な分析からの決断が重要なのでしょう。必要な人材を揃えられるか。社長の器で規模が決まる。自社の業種業態は将来性があるのか。時代に取り残された退場すべきものにいくら費用をかけてもムダだという決断も必要、という厳しい目も、自社の正確な位置付けや存在意義を再考する、企業そのもののアイデンティティを問う時代なのだ、という指摘は、冷徹に自己を見つめ直させるものです。そして時代の「変化」の予兆を捉え、的確に対応できるための「学び」が不可欠であり、志を持った経営者の集まりの同友会の存在意義にも心を強くしました。クレームは宝の山であり、ターゲットの変化に順応できる情報化、業務フローや決断のプロセス。そこからいい腕の診断士など相談相手の重要性という営業トークも忘れないところなど、クロージングに至る話のうまさにも唸らされました。さすがオブザーバーが長い坂上先生でした。感謝。

 参加者の数からだけでなく内容においても新年度にふさわしい例会でした。経営にはこうした学びが重要であることを再確認できました。皆さん、ますます同友会での例会に参加しましょう。アンテナは高く張りましょう。(Y)

地区会2009年度総会 報告

日時:5月21日(木)午後6:30〜9:00   会場:戸田市文化会館  (就任の挨拶をする戸部新会長)

 今年度から少し公的な総会に挑戦してみようということで、会場を文化会館にし、市長をはじめ来賓をお招きして、また経済振興課などとも親しく意見交換できるような懇親会をという企画となりました。来賓挨拶は、残念ながら直前になって神保市長が都合で欠席となり、山田副市長代読。冨岡商工会副会長、菅谷副代表理事と「副」づきましたが、地区会初の総会来賓です。まさにこれが「福」を呼んでくれることを祈っています。ありがとうございました。
総会は、恒例のニッケン建設の溝上さんを議長に選出し、つつがなく終了となり、新人事も戸部会長を筆頭に、山中・引地副会長、経営革新部会として部会長に吉田さん、副に林さん。異業種交流部会が部会長、川島さん、副に若月さん。会計の犬塚さん、監事に鈴木さんが留任。顧問も奥墨さん、風間さん、溝上さんと代わらず、直前会長の都丸さん、アドバイザーとして新設されたポストに小山(忠)さんが決まりました。小山さんは県での監事としてそのご意見番役に期待する声も上がっています。地区会長を3期務め上げた都丸さんは、今度は県の共同求人委員長です。会長職、ご苦労様でした。いよいよ新年度のスタートです。

 今期の総会は32名(63%)の参加で、経済振興課の課長をはじめ、女傑のKさんと意見交換もでき、大変充実したスタートとなりました。「10万人都市に1地区会を!」という10年ビジョンに一番近い理想的な地区会として、会員増強と蕨地区会の独立を目標に、これからも地域にその存在感を示せればと思います。今年の戸部新会長の活動方針のスローガンは「今こそピンチをチャンスに! どれがチャンスの種か見極め、会員の強みを活かそう」です。地域経済の活性化はまずは地元の中小企業の活性化にあり、それは社長がやる気を、元気を見せることから始まります。まずは大いに学び合いましょう。

早速6月例会は18日(木)に「経営の赤信号を見抜く!」と題して異色の中小企業診断士の坂上さんの報告です。7月は、9日・10日に「熱き企業家精神で時代を切り拓こう」をテーマにする東京同友会設営の中同協41回定時総会が椿山荘で開かれます。首都東京で中小企業憲章へ向けた「中小企業立国日本」を考えるいい機会です。お隣の東京都です。宿泊はなくてもたまには遠足気分でみんなで出かけましょう。(Y)

 

2009年度 埼玉県 第36回定期総会 報告

〜時代に試される中小企業家同友会の真価〜

今こそ同友会運動50余年の経験に学び、全社一丸・衆知の経営で、

閉塞の時代を打ち破ろう!

日時:4月11日(土)14:00〜20:00   会場:新都心ビジネス交流プラザ

 「企業価値を創出し地域経済に活力を」として長期10年ビジョンを策定する第36回定期総会が終了した。過去に例がない700万円の余剰金を生むという2008年度を終え、代表理事2名、副代表理事も増員、14地区会を13地区会とし、県の地域振興センターに合わせる形で県内を10ブロックに分けての新しい体制がスタートする。これは100年に一度という経済危機の時代に、中小企業の存在意義を掲げて「中小企業憲章」制定を悲願に、中小企業立国を国家戦略へと要求する同友会運動の総決算の幕開けでもある。まさにアメリカ型の経済からヨーロッパ型の「 Think Small First」への変革、方向転換とも言えるかも知れない。イタリアなどの同族会社、大家族主義やスイスのギルドといった職場連合、協同組合方式など、多様な小企業ネットワークなど21世紀へ向けて企業のあり方が問われる。そもそも「企業」概念が誕生してまだ80年余りだが、「社会的企業」「社会起業」「コミュニティビジネス」といった非営利的なNPOなど新しい概念の誕生の中で、企業家自身が「企業」を、自社を再考する時代なのかも知れない。今年は標題にあるように、各社、各地区会を含めて同友会のあり方や組織を問い直す時期なのだろう。そして、それは「新しい公共」概念とともに国家や地方自治体そのもの、市民の幸福の追求そのものを問う時代のスタートなのだろうか。

 10年ビジョンでは、県の振興センターが置かれる10地域をブロック制にして、10万人都市に1地区会という展望を描く。そこで戸田蕨地区会ではそれぞれが分離独立して2地区会の編成を目標とすべきだろう。現在のところそうしたビジョンのモデル地域のような地区会だが、今期から若返りと同時にそうした展望を踏まえて組織を考え、十分な体制作りを実現しなければならない。そのためにも行政との連携強化、増強を戦略的に推進する必要がある。新執行部に期待したい。(写真は任期満了で退任する各地区会長を代表して感謝状を授与される都丸会長。都丸氏は新年度から県の共同求人委員会委員長。)

  また、戸田蕨は「環境」問題にも先進性がある。「エコライフDAYとだ」では昨年度は戸田市民5万人以上が参加。埼玉県から環境分野の県民大賞も受賞している。水質浄化から生まれた真珠、戸田公園の県が設置した太陽光発電や市役所の風力発電、バイオ燃料製造装置開発でも話題だ。県としても政策委員会地球環境部会が同友会版「エコアップ宣言」がスタートするが、ぜひ、これらの企業の環境問題への取組においても中心的な役割の担い手になってほしい。東京都とさいたま市という大都市圏に囲まれ、荒川との狭間で物理的にも拡大できないというマイナスをプラスの地の利を生かして、他市にない「SOHO型、職住近接、Small is beautiful.」といった市民と企業が連携したまちづくりも考えよう。ぜひ、地区会全社のエコアップ宣言を!(写真左は総会で148社を代表して、エコアップ宣言認定書を授与される地球環境部会長)