<豆知識>中小企業憲章制定運動について

 中小企業家同友会は全国組織に「中小企業家同友会全国協議会」という各県の組織を横断的にネットワークしている。政権交代で今、その中でも「中小企業憲章制定運動推進本部」を中心にヨーロッパ型の「憲章」に取り組んでいる。90%以上の企業の政策を司る役所が「中小企業庁」ではなく「中小企業省」に、担当も「中小企業大臣」に格上げされ、日本の国の成り立ちから再構築しようという運動でもある。政権交代で実現可能性が大きくなっている現在、埼玉県、戸田蕨地区会でもこうした動きは大いに学習する必要があり、政策委員会を代表して県の監事でもある地区会の小山忠氏が参加した第12回会議報告を交えて、最近の動きをお伝えしておく。

 会議では中同協と民主党との意見交換会から参加してきた党の常任幹事会議長でもある前田武志氏の講演があった。少し長いが、抜粋で現状の概要を掲載しておく。「私が民主党の企業・団体委員会委員長であったときに、中同協さんと民主党が定期的に懇談するようになりました。懇談では、日本経済の基盤は中小企業・零細企業が支えているという認識を共有していたと思います。日本経済が構造変化し、グローバル経済が進展する中で新しい産業を興していくためには従来の中小企業庁の政策の範囲では限界があります。そこで、中小企業政策は政治主導で諸官庁の政策を横ぐしで通すように統合政策としてやることが必要だとなって、それを実行するために、中小企業憲章を制定しようとなりました。立教大学の山口義行教授にも民主党の勉強会に来ていただいて中小企業と政策について勉強しました。EUの政策も研究対象で、欧州の社会民主主義の考え方も参考になっています。皆さま方のヨーロッパ視察の報告書も読みましたが、視察参加者がそれぞれ書かれている視察記は経営者らしい鋭い視点があり、さすがだと思いました。
 私は現在、民主党の党務の執行をつかさどる常任幹事会の議長に就いています。各省庁の大臣、副大臣、政務官を政務三役といいますが、70名ほどの国会議員が任に就いています。さきほど、諸官庁の政策を横ぐしで通すと申しましたが、役所の縄張りはタコツボのようなものです。自分の省益しか見えていません。それを政治主導で打破しようというわけです。中小企業関係では、経済産業省では増子輝彦副大臣が中小企業担当です。また、首相官邸では中山義活首相補佐官が中小企業担当として鳩山首相に一番近いポジションで中小企業に関して首相に助言しています。
 中小企業憲章全体については皆さまの方が勉強されておりますので、私は住宅分野を中心に新しい産業のイメージと中小企業の役割についてお話したいと思います。この分野では、地球温暖化対策と地域活性化策、中小企業の新しい仕事づくりが統合的に進められることが大事だと考えています。これまでの日本の住宅政策は新築に重点があったわけですが、全国にマイホームが5700万戸もある状態に至り、このマイホームをターゲットにした総合的住宅政策が焦点になります。これを、「住宅リフォーム大作戦」と名付けました。
 マイホームは新築から20〜30年も経てば、資産価値がなくなり、産業廃棄物になってしまいます。「住宅リフォーム大作戦」で、マイホームに省エネ耐震、健康のリフォームを施すことで高い居住性能を実現したいと考えています。ここに地元の中小企業が関わることで、大きな仕事づくりにつながります。また、リフォームに国産木材の利用を徹底することでカーボンオフセットを進めることができます。さらに、マイホームの資産価値を高めることで、いつでも貸せる、売買できる中古住宅市場を整備したい。持家世帯にはいつでも現金化できる安心の老後資金を、子育て世帯には良質な住環境を提供したいと思います。
 民主党のマニフェストでは、この「住宅リフォーム大作戦」に加え、自然エネルギー(グリーン転換)による地域経済活性化策なども掲げています。例えば、全量買い取り方式の再生可能エネルギーの固定価格買取制度が導入されれば、全国いたる所に「ミニ発電所」が生まれ、それを地域の中小企業が担うことが期待できます。同友会の皆さんが直接間接に関わるのではないでしょうか。そして、北海道から沖縄まで住宅のあり方が違いますから、本来は建築基準法など建築のあり方も分権しなければならないのです。自然エネルギー利用についても地域特性に合わせ、分権的な思想でやらなければならないと思います。
 民主党の政策はまだまだ全体像が見えないかもしれませんが、以上のように産業経済政策だけでなく、日本の国のあり方として中小企業・零細企業が地域の実体を支えていく中心のプレーヤーと位置づけ、分権をしっかり進め、低炭素化社会をめざすというシナリオで政策が関連付けられています。